暗号資産取引をするに当たっては、仮想通貨取引所の利用が不可欠です。取引所はたくさんあって、それぞれに異なる特徴を持っていますので、どこを利用したらいいか迷ってしまうかもしれません。
選び方の一つのポイントとして、手数料比較があります。そこで、仮想通貨取引所の手数料の内容や取引所によってどのくらい違うのかを比較しながら見ていきましょう。
よし
- 金融系Webライター
- 株式投資歴12年
- 暗号資産投資歴4年
- 執筆に携わった記事は数百を超える
仮想通貨取引所の手数料の内容
まずは仮想通貨取引所を利用する際に、どんな手数料がかかるのか、その内訳を確認していきます。取引をするに当たって、たいていの場合は複数の手数料がかかってくるものです。それぞれの内容を理解することで節約する術を学ぶこともできるでしょう。
取引手数料
仮想通貨投資において最も気にすべき手数料は、取引手数料です。これは、売買のいずれであっても注文を出して成立した場合にかかる手数料を指します。取引の度にかかるものですので、取引回数が多くなれば当然、手数料負担も大きくなります。
取引手数料は通常、注文額に対するパーセンテージで設定されています。売り注文と買い注文で料率が異なることもありますので、注意が必要です。取引所によっては、指値注文については市場をけん引する役割があるということで、手数料を無料としているところもあります。
厳密には取引手数料とは言えませんが、スプレッドも実質的な取引手数料となります。販売所において設定されている売値と買値の差額のことを「スプレッド」と言い、同じタイミングで売買のどちらも行うと、ユーザーにとって損失が出ます。この差額が、仮想通貨取引所にとっての利益となるわけです。
各種取引における手数料
通常の売買取引以外をする場合、別途手数料がかかることがあります。
代表的なものは、レバレッジ手数料です。通常取引では手数料がかからないところでも、レバレッジをかけると手数料がかかるケースが多いです。
また、レンディングや積立サービスについても、一定の手数料が徴収されることもあります。たいていは、取引額に対する一定率で設定されています。その分、利益を圧迫することになりますので、手数料を計算した上で利確をする必要があるでしょう。
入出金手数料
仮想通貨取引所で取引をするには、まず取引用口座に日本円で入金しなければなりません。そして、暗号資産から日本円に直した後に、日本円で銀行口座に出金することで利益を手にすることができます。これらの口座への入出金について、たいていの取引所で手数料を設けています。数十円から数百円くらいで、出し入れする金額によって変動することもあります。特定の銀行だとかなり手数料が安くなったり、タダになったりするケースも見られます。特に、グループ会社で銀行を経営している仮想通貨取引所では、関連銀行への入出金をお得に行うことができます。
場合によっては日本円だけでなく、仮想通貨同士で資金の移動をすることもあります。ウォレットへの入出金をする際にも手数料がかかるので、注意しましょう。とはいえ、そもそも自由に仮想通貨の出し入れができない取引所もありますし、連携しているウォレットによって手数料が変わることも多いので、要チェックです。
手数料を比較する際に見るべきポイント
こうした手数料は、仮想通貨取引所によって金額や料率が異なります。そのため、口座開設する際には、手数料を比較して取引所を選ぶことが大事です。その際に、注目したいポイントを解説していきます。
同じ銘柄での比較
比較に当たっては、必ず同じコインにおける手数料を比べるようにしましょう。というのも、取引所によっては、売買する銘柄によって多少の手数料の差が出ることがあるからです。特に、メジャーコインについては安く設定しているものの、マイナーコインは高くなることが多いです。そのため、自分がよく取引をする銘柄をピックアップして、その取引にかかる手数料を見ないといけないのです。
さらに、特定の銘柄の取引手数料を安く設定しているとしても、それが期間限定のキャンペーンであることも珍しくありません。ホームページなどで「手数料が安い」とうたっているとしても、永続的なものなのかを確かめたほうが良いでしょう。
全体でかかる金額を比較
暗号資産投資で利益を手にするまでには、いくつかの手数料がかかります。日本円の入金手数料から始まり、取引手数料、口座から日本円で銀行に移す出金手数料は必須となります。そのため、単に「取引手数料が安いから良い」ではなく、全体でかかる手数料の総額を一連の流れで確認すべきなのです。一つの手数料が安く設定されているとしても、他の手数料が割高であれば結局変わらないということになりますので、こうした見方はとても重要です。
一番かかる手数料を見る
投資スタイルによって取引の仕方は異なるものです。当然、それに伴って必要とされる手数料の内容も変わってきます。たとえば、一度に大きな額の投資をして、後はレンディングやステーキングによって保有するスタイルの人もいれば、細かく注文を繰り返すスタイルの投資家もいるはずです。また、定期的に利確をして日本円での出金を多く行うケースもあれば、ずっと取引口座に置きっぱなしにして出金はほぼしないという方もいます。
このように、それぞれの投資行動によって主にかかる手数料も変わってくるわけです。自分の投資スタイルから見ると、どの手数料を最も多く支払うことになるのかを考えましょう。そうすることで、比較の際に重視したい手数料を見極めやすくなるはずです。
仮想通貨取引所の手数料比較
こうした点を押さえつつ、国内で人気の高い仮想通貨取引所の手数料を比較していきます。それぞれで異なる特徴を持っていますので、その差を把握して、取引所選びの参考にすると良いでしょう。
SBI VCトレード
取引所における取引手数料は、メイカーで-0.01%、テイカーで0.05%に設定されています。日本円で銀行への入金手数料は無料となっていますので、気軽に資金の出し入れができるのがメリットとなります。また、販売所におけるスプレッドも狭く設定されていることで、実質的な手数料を安く抑えられるのもうれしいところです。この取引所では、2倍までのレバレッジ取引ができますし、積み立てやレンディングなども手数料フリーで行えますので、使い勝手の良いサービスと言えるでしょう。
このように、SBI VCトレードはほとんどの手数料が無料となっているのが特徴です。メイカーによる取引であればマイナス手数料となっていますので、積極的な投資ができます。細かく注文を重ねたり、高い頻度で少額の入出金をしたりできるのもうれしいところです。こうしたことから、少額投資をする方やできるだけ手持ち資金を使いたくないという方にメリットの高い取引所となっています。
DMM ビットコイン
幅広い銘柄を扱えることで人気のDMMビットコインでは、「BitMatch注文」という名称で現物取引を行います。ビットコインでは、0.001BTCあたり37円の定額手数料となっています。イーサリアムの場合は、0.01ETHごとに34円がかかります。銘柄によって取引手数料が大きく異なりますので、事前にチェックしておきましょう。
レバレッジ取引では、1日あたり0.4%の手数料がかかります。銘柄によっては、現物取引はしておらず、レバレッジ取引のみというものもありますので、この手数料が実質的にかかると理解しておけば良いでしょう。入出金手数料や仮想通貨の出金手数料は無料となっています。
取引手数料は定額でかかるのが、DMMビットコインの特徴です。そのため、一度に大きめの額で売買をしたほうが手数料率が実質的に下がってお得となります。つまり、細かく注文を重ねるスタイルよりも、大きな注文をまとめて出すスタイルのほうが有利と言えます。レバレッジ取引を多くの銘柄で行える取引所ですが、取引にかける日数が多くなるほど手数料が上乗せされるので、タイミングを見計らって取引をまとめていくことが肝心です。
コインチェック
マイナーな銘柄も含めて非常に幅広いコインの取引ができるのが特徴のコインチェックでは、取引所における取引手数料も銘柄による差があります。手数料が無料となっているものもあれば、0.1%に設定されているものもありますので、自分が取引したい銘柄の手数料を確認しておきましょう。また、若干ですが、販売所利用におけるスプレッドの幅が広い傾向にありますので、売買値の差額をチェックしつつ、売買を行う必要があります。
入金手数料は、銀行振り込みの場合は一律無料となっています。コンビニ入金やすぐに入金が反映されるクイック入金では、3万円未満で770円の入金手数料がかかります。3万円以上だと1,018円となります。出金手数料は一律で407円です。
コインチェックではレバレッジ取引を行っていませんが、レンディングや積立サービスを実施しており、幅広い投資スタイルを選ぶことができます。どちらも利用に当たっての手数料はかからないので、気軽に使えるでしょう。
取引手数料がゼロの銘柄があるため、その銘柄を中心とした投資をするのに適しています。ただし、入出金手数料がかかる取引所ですから、計画的に資金の移動をすることが求められます。他にはない銘柄の取り扱いも見られますし、操作がしやすく、初心者に人気の取引所となっていますが、これらの点には注意しましょう。
手数料を減らすためにできること
手数料はどの取引所を使うにしてもかかるものです。それだけに、手数料を減らすための工夫が肝心です。どんな対策があるのかをチェックしてみましょう。
売買注文の仕方を変える
暗号資産取引では、販売所と取引所というスタイルがあります。販売所ではスプレッドという形で、取引所では毎回の注文確定ごとに手数料がかかります。両者を比較すると、取引所のほうが実質的な手数料が安くなる傾向にあります。そのため、同じ取引をするのであれば、手間がかかることや成約までに時間がかかるなどのデメリットはありますが、取引所を利用したほうがお得になります。
また、一定額の手数料がかかる場合は、少額の売買を繰り返すと不利になります。そのため、まとめて大きめの注文を出すことで、実質的な手数料率を下げられます。
まとめて出入金
出入金手数料がかかる取引所は、あまり頻繁に日本円での出し入れをしないほうが良いです。無駄な手数料を払わないで済むよう、まとめて口座に入れたり、利益が大きくなってから一度に引き出したりしましょう。
手数料を考慮して利益アップを目指す
仮想通貨取引においては、取引手数料や入出金手数料などの各種手数料がかかります。手数料は投資による利益率を圧迫するものとなりますので、より安く済ませられるように工夫すべきです。お得な取引所を手数料比較をして選ぶことに加えて、投資の仕方を考えることによって支払いを減らし、利益アップを目指しましょう。